My everyday life from Yeosu/여수/麗水, Korea.


2013/05/09

好きと嫌いの狭間で揺れる心。

彼の会社の人たちと食事をする機会が何回かあったんです。
みな、私たちの結婚を祝福するため、私を歓迎するために集まってくれました。

まず、彼の会社の同期たち10人と豚のカルビを食べに。
気楽ですごく楽しかった。
みな、素朴な韓国男子で、頭はいいけど少しダサくて、いや、かなり服装とかダサくて、
でも性格良くて、ほっこり系でした。私のドンちゃんも素朴系男子だけどね。
この10人が来週、我が家に来るのでもてなす私は窒息しそう。

次に、彼の直属の先輩二人とイタリアンを食べに。
この先輩がすごくつまらないギャグをいう人だった。以上。

更には、彼の会社でヨスの工場の全責任を持つ役員の人とも会って、牛肉も食べました。
彼みたいなまだヒラ社員がそのクラスの役員の人と個人的に食事することなんて、滅多にないんですが、私が「日本人」ということをどこからか聞きつけたらしく、部下を使って、彼に連絡をしたそうな。役員さん、日本の理系の大学院に留学経験もあり、大の日本通でした。
私が日本人として、すごいなって感心する日本好きの外国人の方のポイントとして、「日本の地理が完璧」なことをあげます。他国の地理が完璧って、本当に興味なくちゃ、できないことだと思うんです。その地域の特産物とかも知ってたりすると、すごいなって思う。役員さんも、すごく日本を知ってて、冬は新潟や長野でスキーに行き温泉に浸かるのが好きみたい。ホテルよりも断然日本の古い老舗の旅館が好きなんだと。お金持ち。
緊張したけど、ドンちゃんにとっても良い機会だったと思うし、何より韓牛が美味しかった。

で、一番記憶に残った食事会。
彼の会社の工場で働いている現場作業員のおじさんたち6人でチキンを食べに行ったこと。
正直言うと、現場作業員と聞くと、なんというか、違う世界の人たちというか、自分の人生の中で、一番接点がなかった人たち。でも実際に会ってみて、すごく優しくて、お酒は入ったら日韓問題についてきついこと言われるかな~って思ってたんだけど、そんなこともなく、楽しい席でした。

おじさんたちのうちの一人が「お嫁さん(私)の両親の話がすごく感動したんだ」と言いました。
私、おじさんたちの前で一度も自分の両親について話してなかったんで、
なんだ?と思ったら、彼が以前、おじさんたちに私の母のことを話したらしく、
そのことにえらく感動したみたいでした。

私の母の話とは、
私が彼と付き合い始めてしばらくして、母とドンちゃんの話をしてた時、
母が「実はもし彼氏が社会人だったなら、反対してたと思う。学生だったから、嬉しかった」とポロリと言ったんです。当時、私も彼もまだ学生だったんですが、
私が学生で、でも彼が韓国で社会人だったならば、価値観も違うだろうし、
母なりにたぶん、きっと、どこか心配だったのかなって思います。
母のその言葉の内にある気持ちはなんとなくわかりました。

それを私がドンちゃんに言って、ドンちゃんがおじさんたちに言ったみたい。

おじさんたちは「社会人はお金を持っているけど、学生は何も持っていない。
けれども、何にももっていないパク君(彼)をお母さんは好きだって言ってくれて、パク君の可能性を見ててくれたんだねぇ」と、母の発言がかなり過大に取られているのを感じつつ(笑)、でも、一人のおじさんは涙をうかべて感動したと何回も繰り返してました。

そしてまたおじさんの一人が
「自分は本能的には日本という国が好きではないけど、こうゆう日本の人たちの温かみを感じると、日本という国と日本人と触れ合いは別のものなんだと実感できる」
と、言ったんです。

本能的に好きではないという言葉をもし留学当初に聞いたならば、私はショックを受けてたと思う。
けど、今は、このおじさんの言うことは深く理解できるし、このおじさんの抱く日本への感情こそが、一般的な韓国人が抱く日本へのそれなんだと思う。
すごく難しいところだけど、どんなに近くて、どんなに交流があって、日本人に優しくされたって、「どこかやっぱり好きにはなれない、好きだけど嫌い」、そんな感情。でも、国と人との交流は違うんだって理性的な考え。この狭間で揺れる韓国人ってすごく多いんだと思う。もちろん、手放しで好きだって言う人もいれば、絶対に嫌いだって言う人もいるけど。かくゆう私も、韓国を手放しでは愛せない。好きと嫌いの心の葛藤はすごく辛い。嫌いな気持ちを「彼の故郷だから」ということで無理やりねじ伏せるときもある。けど、やっぱり、このおじさんの言う通り、国家と市民社会を切り離して考えたいし、日韓共に、国家関係に惑わされない、例えるならヨーロッパのような、より成熟した市民社会をお互いに作っていきたいと思います。二か国間の友好は結局は人と人との交流だ。その点で、母がおじさんたちを感動させたことには深い意味があると思う。

そんなこんなで、現場作業員のおじさんたちとの食事会は、母の言葉一つで、私自身もより深く考えるきっかけにもなりました。

ちなみに、現場作業員、いわゆるブルーカラー(そんな言葉今では使いませんが)のおじさんたち、
すごくすごーく高給取り。年収は軽く1000万円を超えます。これ、韓国でもハイクラス。
なぜか。彼の会社 なんと、現場作業員たちは労組があるんです。これにはびっくり。普通、韓国の会社には労働組合ってありません。しかしながら、彼の会社の現場作業員たちにだけは、あるんです。なんでなのかまではわかりませんが、不思議です。で、労組はもちろん権力もあり、ハイクラス並みのお給料がもらえているとのこと。逆にお金がありすぎて、奥さんたちがそのお金で浮気をするというのも聞きました(笑)
おもしろい。

自分一人では出会えない人たちと美味しいものを食べてお酒を飲むのは気持ちがいいですね。
その点を彼には感謝しなくてはいけないなーって思います。

で、でも。

彼の会社の人たちに「奥さん」として紹介されるのは、やっぱりなんかいやだ。
彼の会社は彼の勤め先なだけで、それ以上でもなければそれ以下でもない。
私は、私として紹介されたい。私も早く自分の世界を作りたいです。

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