6月になってから、私の生きる世界が雫の中にあるような、そんな風に感じることが多くなった。爽やかでカラリとした緑の風が吹く5月に比べて、じとっとして湿気の多い6月。そこまで気温が高くないのに、歩くとじんわりと汗をかくようになり、夏が来たんだなと実感。
私が通う大学には日本語を学んでいる学部生が割といて、日本語を専攻している学生も多い。彼ら彼女らの中には、日本の大学へ交換留学を希望する子もいたり、日本社会や文化に関する卒論を書く子もいて、私は1年前ぐらいから、そんな学生たちの勉強をみたりアドバイスをしたりするチューターをしている。
この1年で色々な学生たちと出会った。嵐の大野くんがきっかけで日本語を勉強し始めた女の子や、卒業したら大阪で就職が決まっている子、卒論で日本の良妻賢母について調べている子、交換留学先で学生劇団に入り演劇を学んだ子。私たちが、どこかの国の文化に興味を持ちその国を好きになるように、皆、日本文化に興味を持ち、日本のことが好きな子たち。
先週、偶然にとある男子学生に再会した。通学バックに日本の神社で購入したというお守りをつけている物静かで思慮深い学生。今まで日本好きな韓国人にたくさん出会ったが、お守りをつけている人はそうそういないから、とっても記憶に残っていた。
彼のバックにはもちろんお守りが今だにその席を守っていたのだけれども、その隣には新入りがいた。パスケースに入ったSuicaのカード。東京のどこかの駅と早稲田駅区間を結ぶ期限が切れた定期である。
聞けば、休学しワーホリで日本に行った時に使っていた定期らしい。早稲田駅の近くにバイト先があり、毎日その定期で電車に乗り通っていたみたい。日本にいた時間は自分にとって忘れられない大切な思い出が詰まったものだから、この定期もとても大事なものなんだと。なので、通学バックにぶら下げていつも身につけているのだと教えてくれた。
それを聞いて、私は自分の交換留学時代を思い出すと同時に、なんだかすごく胸がキューっとなった。すごく嬉しかったし、同時にとっても切なかった。うまく言葉にできないんだけど。
彼が後生大事に大切にしているSuicaを見ながら、彼が過ごしたワーホリ時代を想った。彼にとって、キラキラと輝く一番星のような思い出なんだろうな。大変なことも多かっただろうけど、きっと、夢と希望を持ってやってきた海外で、とても素敵な日本人たちと出会い、交流したんだろうなって。知らない国で、現地の人に優しくしてもらったことって、一生心に残ることを知っているから。
久しぶりの再会の後、私には、日本を好きになってくれてありがとうという気持ちと、これからも好きでいてほしいなという気持ちが織り混ざって存在していた。嬉しいんだけど、切ない気持ちの正体はこれなのかな?ずっと好きでいてほしいのだけれども、難しいかもしれない。
純粋な心で日本のことを好きだという気持ちを持つ彼を、心無い人が傷つけないことを願うばかり。母国以外の国にも関心を持ち、情熱を傾ける気持ちはとても尊いものだと思うから。
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