今回の帰省の第二の目的。ずっと行きたかったところ。
中近東文化センターを訪問しました。
中近東文化センターは三笠宮殿下指導の下、石油の出光が協力して作られた中東の研究機関であり、中東に関する資料や図書を集めた図書館と中東に関する工芸品などを集めた博物館が一般人に公開されております。
(三笠宮殿下が宗教を軸にしたヘブライ語を研究されていたとは知らなかった。ちなみに博物館には殿下の研究ノートや方眼紙に作成された年表なんかも展示されています。出光のコレクションも少し。)
電話で予約をして伺う形です。詳しいことはHPを参照にしてみてください→
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ちなみに入場料は1000円です。
↑博物館で買いました。
元々小さな博物館で、展示物は多くはないけれども、とても見やすく整理された状態でまとまっていました。文明発祥の地としての中東からその後のイスラーム美術が盛んになるまで、時代的にきちんと網羅してありました。
何より、お目当てのイズニク陶器、ラスター彩陶器、ガラス器、織物であるコプト織、ペルシア織などの工芸品をこの目で見ることができて感激しました。いつも資料集を眺めているだけだったので。写真と実物じゃ全然違う。
以下、メモ。
・藍釉色絵金鳥文水注(イラン、12-14c)
・青釉鉢(イラン、13c)
・緑釉双口ランプ(トルコ、1-3c)
・青釉貼付文把手付壺(シリア、2c)
・多彩釉刻線文署名付鉢(イラン、9-10c)
・白釉多彩草花文皿(トルコ、17c)
・白釉多彩花文水注(トルコ、17c)
・ラスター彩細頸瓶(イラン、13c)
・多彩騎馬人文鉢(イラン、10c)
・ラスター彩人物鉢(イラク、12-13c)
・青釉黒彩人物形瓶(イラン、13c)
・青釉薬色絵騎馬人物文鉢(イラン、12-13c)
が、とても良かった。何が良かったってその色。私の乏しい語彙力では到底形容できない、素晴らしい色がついた陶器たち。
特に青釉貼付文把手付壺(シリア、2c)のブルー、これが素晴らしかった。写真の作品と同じブルーです。写真よりもずっと深くて鮮やかで艶やかなんです。これが2世紀に作られているんだから、やはり中東ってすごいな、他に追随を許さない。
他にはイズニク陶器の白釉多彩花文水注(トルコ、17c)も良かった。アラビア語で詩が書かれているんです。
我に水を注がん 愛しき人よ
水差しを持ちたもう 柳眉の者
美しい女性が水差しを持つ姿が想像できます。どこの国でも生活に欠かせない水は女性と結びついているんだな、と感じました。
展示の仕方で感動したのは、衣類の展示の仕方。布はコプト織、ペルシア織の現存するもの以外に、人物文が書かれたタイルや陶器も展示されていました。書かれた人物を見ると、どんなものを着ているのか参考になるのです。その発想がさすが。同時に偶像崇拝が禁止されているイスラム世界で、こんなにも人物文が描かれていたんだと驚きました。
それにしても、やはり陶器の色が忘れられません。同じ青でも色んな青があるんです。直接目で見て確かめた感動は言葉では言い表せられない。
あんなに鮮やかなのは、あの地域が乾燥しているからなのでしょうか。空気が乾燥しているから色彩もはっきりと見えるのかな。逆に日本は湿っているから、もやりとした優しげな色合いになるのでしょうか。
不思議です。
最後に今回中東関係で買った本。
今のイスラム国とアメリカの戦いはイラク戦争を思い出させます。結局、アメリカはイラクと何年戦っているのでしょうか。オバマの道徳に立って悪か善かでイスラム国を判断するスピーチを聞いて、何も変わっていないんだなと心底思いました。その元はやはり、イラン革命だという結論が私の中で出たので、酒井先生の本を買って勉強しています。
羽田先生はサファヴィー朝関係の本で知った方。東インド会社とアジアの海も読むのが楽しみ。
あとは、哲学者アンナハーレントのアラビアのローレンス論も父からPDFでもらいました。これも帰国後にじっくりと読もうと思います。
最後に話がずれましたが、中近東文化センターはとてもよかったので、興味がある方は是非お勧めです。
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