年末にドンちゃんとソウルをデートした時、「ル・コルビュジェ展」に行ってきました。
ル・コルビュジェといえば現代建築の父であり、建築が好きな人だけではなく、詳しくない人でも(私)一度は聞いたことがあるぐらい、有名な人。
フィレンツェでルネサンス建築に触れ、ローマで丹波健三に想いを馳せたことをきっかけに、ドンちゃんも私も少しづつ建築に対して興味を持つようになっていたので、二人でどんなものかね?と行ってきたのです。
ル・コルビュジェのことについては、恥ずかしながら「上野の西洋美術館を手がけた人」ぐらいの知識しかなかった私。行ってみてわかったのですが、彼は建築家であると同時に、画家でもあったのですね。知らなかった。
会場は画家であるコルビュジェにフォーカスが当てられていました。一言でいえば、コルビュジェの精神活動の軌跡をデッサンと絵画から読み取ることができ、さらにそれが建築にどのように昇華されたのかよくわかる展示でした。素晴らしかった。
3時間無我夢中で見ていながら、色んなことを考えていたのですが、その中でも特に心に引っかかったことが「影響を受ける」ということについて。
彼は自分にとって決定的な影響を与えたものの一つに「東方旅行(ギリシャ、そしてトルコ)」をあげているんですね。トルコの街並みなんかをデッサンしたものも数多く残っていて、なるほどたしかに、大きな感動を受けたことはわかるのです。
でも、彼の建築作品には一つもトルコの持ついわゆるオリエンタルな雰囲気は出てこないし、見えてこない。私はこれが少し不思議だった。東方旅行の影響は彼の何を見れば「目に見えて確認できるのだろうか」と。
でも、よくよく考えてみたら、「影響を受ける」とはそれが作品に顕在化しなくても、「影響を受けた」と言えるのではないか、と気づきました。無意識レベルで「影響を受けている」ならば、それがどこに現れるのかは本人だってわからない。自分の内側の深い部分で影響を受ければ受けるほど、その影響も深いところで作用するのであって、表面には現れないものであるかもしれない。
そんな想いが心に残りました。同時に自分も救われた気がした。自分がインスピレーションを受けたことを、無理に作品に昇華しなくてもいいんだなって。インスピレーションや影響を受けた時点で、受ける前の私とは違う私になっているんだから、その新しい私が作るものは前の私じゃ作れないものなはず。
ちなみに、会場の横には今回ル・コルビュジェ展を記念して、安藤忠雄さんが学生たちと作ったコルビュジェ建築の模型(全作品)が展示されていました。安藤さん、こっちでも有名。韓国国内にも彼が設計した建築があります。建築学科の友人(韓国人)は彼のことが好きで日本の大学院に留学してたぐらい。
愛犬の名前がコルビュジェということを、ここで知りました。かわいい。
ドンちゃんも大満足だったようで、ル・コルビュジェのカタログも購入。私も絵葉書を買って、さっそく建築が好きな日本の友達にお返事を書きました。
ドンちゃんと意見交換もたくさんして、良い時間を過ごせたル・コルビュジェ展でした。
人気ブログランキングへ
こんにちは!
返信削除今年も楽しいお話いろいろ聞かせてくださいませ。
今年の後半はこんな催しがあるようです。http://www.nact.jp/exhibition_special/2017/ANDO_Tadao/
以前、TOTOの屋上にしつらえられた「住吉の長屋」の再現を見たことがありますが、雨の日が大人気だったそうです。
韓国の学生さんたちも多くいらっしゃっていました。
今回は美術館ということで、屋内のようなのでちょっと残念です。
amiさん、コメントありがとうございます。今年もご教示下さい。
削除サイト拝見しました。すごいですね10周記念の企画展だなんて、フォーカスのされ方がやはり大物という感じです。個人的には光の教会の空間の再現というのが気になります。野外展示も一部あるみたいですが、光の教会がそれでしょうか。。。屋上に住吉の長屋ってのもすごいですね。韓国の美術館と比べ、日本の方が割と実験的な展示をしようとする試みが見て取れる気がします、ゆえに、韓国の学生が押し寄せるのも頷けます!