先日ドンちゃんと映画を観に行ってきたのですが、とても良かったので備忘録もかねてブログの記事にしてみます。
観てきた映画は「Straight Outta Compton」(HPはこちら、音でます)
この映画はアメリカのヒップホップグループであるN.W.Aの伝記映画。N.W.Aはアメリカでもかなり治安が悪くギャングたちがひしめく街、コンプトンで誕生したグループ。ギャングスタラップの祖として有名らしい。映画を観に行く前に彼らの歌を歌詞を見ながら聞いてみたけれど、やはりかなり過激。いわゆるFワードが満載。
実は映画を観るまではN.W.Aのことを知りませんでした。かろうじて知っているのはドクタードレがいたってことぐらい。彼はエミネムのプロデューサーとして有名だし、彼のヘッドホンは韓国でも流行っていたし。
知らないグループなのになぜ観に行ったかといえば、作品を生み出す人のその奥にはどのようなエネルギーが隠されているのだろう、という疑問が常にあるからです。その作品が音楽でも絵でも陶芸でも文学でも、作り手の彼らを動かすその熱量は何なんだろうってとても知りたくなるから。N.W.Aが何があって、何を想って、過激な歌で表現することにしたのか。
その問いは映画前半ですぐに解かれていきます。というのもこの映画の核心には「白人警察官たちの黒人たちへの差別」という根強い社会問題であるから。映画の中でもロドニーキング事件の実際の映像、つまりロドニーキングが車から降ろされて警察官たちにボコボコにされているあの場面がシンボリックに使われていました。もちろんそこから広がったあの有名なロサンゼルス暴動の実映像も。
今年3月にももミズーリ州で白人警察官が何の非もない黒人青年を射殺した事件がありましたよね。今でもこんな信じられない大変なことが起こるぐらいなので、当時(80年代後半から90年代前半)は今以上にやはり酷かった。警察官たちの彼らへの態度は人権侵害はもちろん人間の尊厳を激しく傷つけるもの。それに対し、黙ることなく「それは間違っているんだ」という警察官たちや社会への批判精神で、彼らは音楽を作っていくんだなってことが映画を通してわかりました。
映画を観ながら、「じゃあ、これから先、このような根強い人種差別はなくなり平和な世界に期待できるのか」という疑問が生まれますが、それに対する答えも映画の中に出ている気がしました。
というのも、白人のマネージャーと彼らの思考回路の違いや価値観の違いがけっこうあからさまに描かれているから。映画を観てる側としてはどちらの思考の仕方や価値観も理解できるんです。どちらの言い分も正しいし、間違ったことは言っていないんだもん。だからこそ、そこに答えがある気がします。つまり、お互い全然違う人間で一生分かり合えないんだぞってこと。最初から分かり合えるという希望は持つなよってことがきっと答えなのでは。
悲壮感漂う結論だけど、それが現実的だなって思う。でも、お互いの価値観が違って、相手に自分の価値観を共有させることはナンセンスということさえ理解できていれば、未来は少し明るくなるのかも。
ギャングスタラップはもちろんヒップホップに疎い私は、この映画をこんな風にしか読み解くことができなかったけれど、アメリカが今でも抱えている問題に対して触れることができたので良かったです。何より、映画館という音響施設で彼らの音楽を聴くことは素人にとってもとても気持ちが良かった。
日本では公開未定らしいですが、韓国では公開中。韓国在住で興味がある人は是非観に行ってみてくださいね。
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