日曜日の朝は、先に起きて洗濯機を回そうとしていたドンちゃんから「マイベイビー、大事件だ!洗濯機の水道管が凍ってる!」って声で起こされた。
まさかと思い確認してみると、たしかにガチガチに凍っていた。叩いたらそのままポロポロって崩れそうな感じ。びっくり。しょうがないので、お風呂にお湯をため、それをせっせと洗濯機に運んだ。もちろん、ドンちゃんが。
我が家の洗濯機の水道管を凍らせるぐらいの大寒波。ヨスはマイナスになるけれど日中は0度ぐらいまでは上がるのが普通なのに、この日は太陽が出てもずっと外はマイナス7度、体感温度はマイナス14度。こっちに来てこんなに寒いのは初めて。
寒いからおうちに籠っていようって思っていたけれど、いてもたってもいられなくて、二人でお散歩にでかけた。とにかくたくさん着込んで。私は起毛タイツに分厚い靴下を重ね、ドンちゃんはヒートテックの股引を仕込んで。
外に散歩に出かけた訳はドンちゃんがしてくれた話がきっかけ。
この寒波は北極の氷が溶けたことに因る。つまり、この寒波は北極から来たんだという話。
北極から来たということは、北極にいる生き物たちが吸って吐いた息も混じっているということである。北極圏にいる白くまたちの呼吸が、外の冷たい風の中に溶け込んでいるということ。なんてロマンチックなんだろう。それを考えたら、ドンちゃんと一緒に外に出て、マイナス7度の空気を吸い込みたくなった。
ドンちゃんにその話をしたら「マイベイビー、それは素敵だね」と同意してくれて、一緒に散歩に出てくれた。
一緒に海沿いを歩きながら、ビュンビュンと嬉しそうに唸っている風を顔で浴びながら、決して会うことのない、暗い闇で隔たっている、でも同じ時間を確かに生きている白くまと私が、風を通して繋がっているんだなーって思った。そう思うと涙が出てくるぐらいに感動で心がいっぱいになった。
一緒に海沿いを歩きながら、ビュンビュンと嬉しそうに唸っている風を顔で浴びながら、決して会うことのない、暗い闇で隔たっている、でも同じ時間を確かに生きている白くまと私が、風を通して繋がっているんだなーって思った。そう思うと涙が出てくるぐらいに感動で心がいっぱいになった。
同時に星野道夫さんを思った。
小学生の時に読んだ星野さんのイニュニックに書かれていた言葉たち。
いつか読んだ本(ものがたり交響 谷川雁)にこんなことが書かれていた。
すべての物質は化石であり、その昔は一度きりの昔ではない。
いきものとは息をつくるもの、風をつくるものだ。
太古からいきもののつくった風をすべて集めている図書館が地球をとりまく大気だ。
風がすっぽり体をつつむ時、それは古い物語が吹いてきたのだと思えばいい。
風こそは信じがたいほどやわらかい、真の化石なのだ。
小学生の頃にこの言葉を読んで以来、風の中に、古代の人々の息吹が含まれているんだという時間的な繋がりと地球規模を包む大気であるという空間的な繋がり、その両方を感じるようになった。それは私を励まし、日々を少し豊かにしてくれる。
高校時代の親友がスペインへ交換留学に行ってしまった後、風に吹かれるたびに、彼女と繋がっていると思うことで、寂しさが慰められた。ドンちゃんと遠距離恋愛をしている時もそう。会いたくてたまらない気持ちも、風を浴びればなんとなく落ち着いていた気がする。
今回の寒波の中に、北極で生きる白くまたちの息吹を感じることができたのも、星野さんの本が底にあるから。
散歩から帰ってきたら、真っ先にイニュニックを本棚から引っ張り出して、温かくした部屋でページをめくった。その日、夕ご飯を作るのを忘れて読みふけってしまった。
散歩から帰ってきたら、真っ先にイニュニックを本棚から引っ張り出して、温かくした部屋でページをめくった。その日、夕ご飯を作るのを忘れて読みふけってしまった。
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